意思決定の良い習慣を身につける——書評「すぐれた意思決定―判断と選択の心理学」

書評

こんにちは、木崎 誠です。

以下書籍について、書評を記録いたします。

  • 著者:印南 一路
  • 出版社:中央公論新社
  • 発売日 : 2002/1/1
  • 装丁:文庫(323ページ)
  • ISBN-10:4122039614
  • ISBN-13:978-4122039612

すぐれた意思決定―判断と選択の心理学(Amazonへ)

私たちの生活は意思決定の連続です。

朝起きたら何をするか、歩いているとき信号で止まったとき何を考え何をするか、といった小さな意思決定がたくさんあります。

そしてその意思決定によって、その後の生活がどのようになるか、だんだんと定まっていきます。

今の自分は過去の自分の選択が積み重なった結果です。
同様に、これからの選択が未来の自分を作っていきます。

そのように重要な意思決定を少しずつでも良いものにしていくことは、未来の自分をより良いものにすることと言えます。

本書はその題名通り、「すぐれた意思決定」をする際の助けになります。

個人的ベストフレーズ

人間の陥りやすい誤りをどれだけ意識的に避けて、意思決定を行ったかが、「すぐれた意思決定」の判断基準となるべきであろう。

出典:印南 一路『すぐれた意思決定―判断と選択の心理学』(Amazonへ)

人間は毎日多くの意思決定をしていますが、そのほとんどは直観的・本能的に行われます。

なぜその意思決定をしたのか、理由を考えることもありません。

そういった無意識的な部分では、人間特有の思い込みや認識のずれによってすぐれた意思決定が行えていない可能性があります。

本書からの学び

本書で得た学びと、そう思った根拠を3つ挙げます。

学び
  • 意思決定とは、判断と選択を合わせたものである。
  • すぐれた意思決定とは、判断と選択における規範性を維持しながら、あいまいな情報や直観を用いざるを得ない状況で、どうしたらバイアスを回避できているか、が判断基準となる。
学びの根拠
  1. すぐれた意思決定をするには、目的を明確にする必要がある。質、スピード、満足度のどれを優先するかで、意志決定をするための考えるコスト(情報収集や見積もり、重要度など)の程度が変わるためである。
  2. どういう状況でどういうことに気をつければすぐれた意思決定ができるか、という意思決定前の判断=メタ判断が必要。
  3. 理想的な意思決定のプロセスは形になっている。この理想に近づくため、できる限りバイアスを避けることが重要。

学びを活かすための行動

本書から得た学びを活かすための行動方針と、具体的内容を挙げます。

行動方針
  • 規範的な意思決定の手法を実践する。あくまで理想論なのでできる限りの範囲で行う。
  • 目的と期限を明確にして意思決定を行う。
  • バイアスを少しずつ認識し、「どういう状況でどういうことに気をつける」の引き出しを増やしていく。
具体的な行動内容
  • 以下の規範的な意思決定のプロセスを実践する。
    1. 問題の定義
    2. 評価基準の発見
    3. 基準間の重み付け
    4. 選択肢の生成
    5. 評価基準に基づいた選択肢の評価
    6. 最適な決定の計算
    7. 選択肢の選択
  • ある程度重要な判断を行う際は質、スピード、満足度のどれを優先するか決めてから選択し、状況含め判断と選択、その結果を記録する。 ※レストランで何を頼むか、というような日常茶飯事にまでは適用せず、仕事の対応方針決定などそれなりの工数を必要とする問題に適用する。
  • 確証バイアス、代表バイアスなどバイアスについて学び、それぞれ「○○の時に起きる思い込みであるため、○○のように対処する」という実用できる状態に言語化する。

まとめ

学びと行動のまとめ
  • すぐれた意思決定とは、エラーを極力減らし理想的なプロセスに近づけるものである。
  • ゴール・目的を定義して、エラーを回避する思考習慣を身につけることでよりすぐれた意思決定を行う。

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