- やめたいと思うような悪習慣は体に染みついているのに、今年こそは!と思った良い行動が習慣にできない。
- 新しい習慣を始めたときはやる気に満ちあふれていたのに、だんだんやらなくなってしまった。
- 今度こそやるぞ!と習慣づけを決心したものの、いつの間にか時間だけが過ぎて行動できていない。
このような悩みはありませんか?
やると決めたことがうまくできていないと、とてもつらく悲しいですよね。
実は習慣づけできていないのはコツを知らないからです。
継続するのにやる気はいりません。
社会心理学の実験では、とあるコツをたった1つ試すだけで行動の実行率が2倍以上に上がったという報告があります。
私自身、コツを使って習慣づけに取り組んでからは早寝早起きや日記などが1年以上継続できています。
この記事ではなかなか習慣づけができなくて悩んでいる人や、もっと楽に習慣づけしたいと考えている人におすすめのコツを紹介します!
習慣づけとは
習慣づけとは、一日の行動の半分弱を占める習慣を、自分の目的に合わせて変えていくこと。
そもそも習慣とは、一言でいうと繰り返し行う行動を指します。
もう少し詳しくすると、やる気のあるなしに関わらず、ついやってしまう行動です。
習慣が作られるのは、脳が楽をするためです。
重要な仕事をするときは真剣に考え、疲れてしまいますよね。
一方で、ティッシュで鼻をかむ時、何も考えずに手が動くのではないでしょうか?
このように、考えずにできる行動は脳の負担が少ないのです。
デューク大学の学者が2006年に発表した論文によると、毎日の行動の40%以上が「その場の決定」ではなく「習慣」によるものとされています。
この習慣をより良いものに変えることができれば、あなたの目的を達成する大きな助けになってくれます。
より良い行動を習慣づけるためには、習慣はどのように形作られているのかを知ることが効果的です。
習慣のメカニズムは4ステップで構成されている
習慣は以下の4ステップで構成されています。
- きっかけ:報酬に気づくための情報
- 欲求 :報酬を得る原動力
- 反応 :欲求を満たすための行動
- 報酬 :行動を起こして得られる結果
きっかけは報酬が近くにあることを知らせてくれる情報です。
報酬があること自体に気付かないと、人間は行動できません。
本当に何の目的もなく行動することはないからです。
きっかけによって報酬の存在を知ると、それが欲しいという欲求が生まれます。
欲は人間の行動における原動力です。
欲を満たすことができるからこそ、人間は行動します。
歯磨きでいえば、「歯を磨きたいから」ではなく「口の中サッパリさせたいから」という欲求です。
欲求を満たすために人間は行動、すなわち反応します。
ここで反応できるかどうかは人によって異なり、その人のやる気や能力によって決まります。
最後に、反応をすることで報酬を得ます。
きっかけで報酬に気付き、その報酬を欲して、実際に獲得するために反応する。
そして得た報酬で欲求を満たす。
報酬が満足できるものであるほど、人の意識に強く刷り込まれます。
強く刷り込まれた一連の流れはだんだんと習慣として構築されていきます。
習慣づけの4ステップをやる気に頼らず実行する
きっかけ、欲求、反応、報酬。
この4ステップを以下のように工夫すると、より楽に習慣づけることができます。
1:報酬を得られると気づくきっかけをはっきりさせる。
習慣は報酬への欲求を原動力に実行されます。
この原動力を生むためには、報酬があること自体に気づかなければいけません。
習慣化したいことが運動であれば、運動着を目立つところに置いておくなど、運動するためのきっかけをはっきりさせましょう。
2:報酬を魅力的にすることで欲求を強くする。
習慣における原動力は報酬に対する欲求です。
欲求が強いほど、行動しやすくなります。
同じ仕事でも、報酬が1万円と10万円ではやる気が違いますよね。
より得たいと思うものを報酬に設定しましょう。
3:報酬を得るために必要な行動を易しくして始めやすくする。
これからやろうとすることを面倒くさいと思ってしまうと、人はなかなか行動できません。
しかし、一度始めてしまえば勢いでそのまま続けられてしまうのも人の特徴です。
この特長を活かして、ほんのちょっとだけ動けばすぐ達成できるような易しい行動を目標にしましょう。
実際に行動を始めることができれば、報酬は目の前です。
4:報酬を満足できるものにする。
行動しても報酬に満足できなければ、またやりたいとは思えません。
また、その報酬は行動したらすぐに得られるほど魅力的になります。
例えば、ダイエットを習慣づけするとき、報酬として何か1つ欲しいものを設定しましょう。
おやつを買うのを我慢できたら欲しいものを買うための貯金に100円プラスする。
こういった目に見えてすぐに得られる報酬があると、行動を繰り返し行いやすくなります。
まとめると、より気づきやすく、よりやりたいと感じ、より簡単に行えて、より満足できるようにする、ということですね。
これらのステップを継続するために、すぐ実践できるコツを知っておくことも重要です。
やる気に頼らず習慣づける15個のコツ
やる気に頼らずに習慣化する工夫をより具体的にまとめます。
基本的に筋トレを例に挙げていきます。
コツは以下の15個です。
- とても小さな行動にする
- if-thenプランニング
- 習慣の積み上げ
- 準備をする
- else-ifプランを作っておく
- 2回続けて休まない
- 悪習慣のきっかけを隠す
- 1つに集中する
- 自分で決める
- 目的と達成基準を明確にする
- 短期的な報酬を用意する
- カレンダーにチェックする
- 振り返る
- さりげなく取り組んで自尊心を大事にする
- 習慣契約を作る
順番に解説していきます。
1:とても小さな行動にする
個人的に最重要ポイントです。
習慣化しようとするとき、人はやる気にあふれていることが多いです。
腕立て伏せなら、毎日100回やってやる!という勢い。
しかしやる気に任せた習慣づけは続きません。
習慣づけで最も重要なことは行動を習慣化すること、
すなわち「行動を起こすこと自体に慣れること」です。
そのため、最初は腕立て伏せ1回くらいのとても小さな行動で問題ありません。
ほんのすこしだけ、ふっとやろうかなと思った時にすぐできる行動にしておくことがおすすめです。
もちろんやる気があるときはできる限り張り切って取り組むべきです。
しかし、次回も目標は小さいまま。
小さい行動を達成すればいいと自分に言い聞かせてください。
2:if-thenプランニング
条件型計画ともいわれる手法です。
やり方は簡単。
習慣づけしたい行動を「いつどこでどうやるか」決めるだけです。
とても単純ですが、とても効果的です。
いつどこで何をすればいいのか分かっているだけで、人は考える力をかなり節約できます。
「筋トレする」という目標ではなく、「朝起きて顔を洗ったら自室で腕立て伏せを一回する」というように、具体的に決めましょう。
ポイントは「いつ」です。
朝起きたら、15時になったら、など、確実に起きることを設定すると、きっかけが起きないという事態を防げます。
3:習慣の積み上げ
2:if-thenプランニングと使い分ける手法です。
すでに習慣化していることをきっかけに新しい習慣づけを行います。
「歯磨きをしたらその場で腕立て伏せを一回する」と、すでにある習慣でいつどこでやるかを決めることができます。
あなたの生活にすでにある習慣を利用して設定することができるため、取り入れやすい手法です。
4:準備をする
習慣づけをしたいと思う行動は、最初のうちはおっくうに感じてしまうこともあります。
少しでも楽に行動するため、準備をしておくことも効果的です。
腕立て伏せであれば、行うと決めた場所に物を置かず、マットを敷いておくという準備ができます。
すでに行う場所があれば、そこに手をつくだけで腕立て伏せが開始できるので、行動を起こすことへの抵抗感が少なくなるでしょう。
5:else-ifプランを作っておく
行動を続けていると、「自宅で行うIf-thenプランニングを作っていたけれど、実家や友人の家に泊まってできそうにない」といった計画外のケースがきっと起こります。
そのようなケースに備え、「自宅にいないときは出かける前に腕立て伏せを一回する」といった代替案を用意しておくと、習慣づけたい行動を継続することができます。
6:2回続けて休まない
計画外のケースを想定しても、どうしてもできない!ということは起こりえます。
毎日絶対に行うことは難しいことですので、あきらめざるを得ません。
ここで重要なのは2回続けて休まないことです。
1回の休憩で習慣づけが失敗になることはありません。
1回の休憩であれば習慣ではなく思い付きに過ぎない単発の行動です。
しかし2回続けての休憩は、あなたにとって好ましくない新たな習慣の始まりです。
1回休んでも気に病まず、また行動を再開しましょう。
7:悪習慣のきっかけを隠す
悪い習慣をやめたいときは、そのきっかけとなるものを隠しましょう。
作業中、ついついスマホを見てしまう、という人は、スマホを見えないところに隠す、というやり方です。
さらにスマホの電源を消してから隠すと、スマホを見るまでに手間がかかるのでより効果的になります。
悪い習慣はより気づきにくく、よりやりづらくしましょう。
8:1つに集中する
何かを始めるとき、多くのことに取り組みたい気持ちに駆られることもあります。
しかしそこをぐっとこらえて、まず1つに集中しましょう。
複数の行動を同時に習慣づけするのはとても難しいです。
結果的に一つ一つ習慣にしたほうが早かったな、と後悔してしまうかもしれません。
どうしても複数やりたい場合は、メインの習慣を1つ、サブの習慣をいくつか決め、メインだけは絶対にやる、ほかはおまけ、くらいの気持ちで取り組むと、無理がないかもしれません。
9:自分で決める
人に勧められたことを習慣づけするときも、どのように行うかは自分で決めましょう。
人が決めた行動をして、人が決めた報酬を得ても、達成感や満足感を得られるとは限りません。
自分が本当に身に着けたいと思うことを、自分で決めることが重要です。
10:目的と達成基準を明確にする
小さな行動と若干重複しますが、なにをどこまでやれば達成かを明確にしておくことは大事です。
また、そもそもなぜ習慣づけをしたいのかを言葉にしておくと、つらくなってきた際に自分を支えてくれます。
「筋トレを続け体を鍛え、自信をつけたいから」という目的を掲げておくと、トレーニングがきつい時にも、もっと自信がある自分になりたいという欲求を思い出して、行動に戻ることができます。
11:短期的な報酬を用意する
習慣づけしたい行動が良いものであるほど、その報酬を得るまでに時間がかかることがあります。
筋トレの報酬が「引き締まった体になる」や「自信をつける」だとすると、1週間筋トレしたくらいでは得ることができません。
そんな時は、すぐに得られて、かつ本来の報酬に悪影響を与えないちょっとした報酬を用意することがおすすめです。
例えば、「腕立て伏せ1回ごとに5円、ほしいもの貯金をする」という報酬です。
この場合、1日10回を30日継続できたら1500円になります。
ほしい本が1冊買えるような金額ですね。
このような、ちょっとした報酬を用意すると、より行動を起こしやすくなります。
注意点は、「筋トレをしたらアイスを食べる」といった、本来の報酬である「引き締まった体になる」に悪影響を与える内容にしないことです。
12:カレンダーにチェックする
シンプルですが効果的な、習慣づけしたい行動をしたらカレンダーにチェックする手法です。
ハビットトラッカーとも呼ばれています。
チェックが続いてくると、そのチェックを途切れさせたくないという気持ちが出てきます。
この気持ちも習慣づけを後押ししてくれます。
できればカレンダーは普段から目にするところに貼っておきましょう。
カレンダーを目にすること自体が、習慣づけのリマインドになります。
13:振り返る
習慣づけしたい行動をしっかりできているか、目的に向かって近づいているかを振り返ることも重要です。
習慣づけたいと思った目的を振り返り、今行っていることで目的達成に近づいているか。
ここを振り返ることで、より効果的な行動ができているかを考えることができます。
また、近づいているかどうかを自覚すること、進捗感を得ることで、より報酬に対する欲求を強くして、行動を起こしやすくなります。
14:さりげなく取り組んで自尊心を大事にする
習慣化をする際、プレッシャーをかけることも有効です。
しかし、プレッシャーを受けて跳ね返せるかどうかは人次第です。
入念に計画した習慣づけへの取り組みが失敗すると、行動を起こす力の源である自尊心に大きな傷ができてしまいます。
そのままでは再度新しい取り組みをする気持ちもなかなか生まれません。
自尊心を守るためにも、習慣づけは一人でさりげなく始めましょう。
よい行動を習慣づけることは本当に大変です。
大変だからこそ、失敗に終わってしまうこともあるでしょう。
そこで周囲に「筋トレを習慣づけする!」と宣言していて、何度も失敗していたら、もう立ち直れないかもしれません。
一人でさりげなく始めて、うまくいかなかったらまた一人でさりげなく再開すればいいのです。
3~4週間ほど続けて、「いけそうだな」と思ってから公言しても、何も問題はありません。
15:習慣契約を作る
前項14とは異なるアプローチで、プレッシャーをかけてこそ行動できる人にお勧めの手法です。
周囲に習慣づけを宣言し、失敗した場合の罰則まで用意してしまいます。
人間は何かを得るより失うことを恐れる生き物であるため、罰則を用意するというのはとても効果的です。
さらに、他者に宣言し契約することで、罰則が確実に行われます。
罰則は普段の自分だったら絶対にしない、したくないことをするといいでしょう。
「自分は毎日起床後に腕立て伏せを1回以上行う。できなかったら契約者に1万円を支払う」といった具合です。
習慣づけの本当のメリット
習慣の最大のメリットは、少ないエネルギーで確実により良い人生を歩めるようになることです。
習慣になるほど繰り返された行動は、言い換えれば何らかの目的で繰り返す必要がある行動となります。
何らかの目的とは、達成したい、獲得したいと思う、人生における問題です。
このきっかけに反応すればあの報酬が手に入る。
報酬を手に入れる方法はなにか、という問題の解答が分かっているからこそ、行動が習慣になります。
習慣化された行動はきっかけに反応して無意識に行われます。
すなわち、決断する、やる気を起こすといったエネルギーを使わなくて済むのです。
その結果、人生の問題解決の負担を軽くなります。
習慣づけられた行動は繰り返され、洗練され、より少ないエネルギーでより大きな結果を得られるようになります。
こうして得られる報酬が自分の人生を向上させるものであれば、努力しているという意識もないままより良い人生を歩むことができます。
習慣づけることを失敗する3つの理由
習慣は身に着ければ素晴らしい効果があります。
しかし身に着けるまでは多少なりとも努力が必要です。
先述したコツに加え、習慣づけを失敗する理由を知ることで、成功率を高めることができます。
習慣の達成基準を誤ってしまう
習慣づけるとき、「どこまでやったら習慣づけしたい行動を実践できたといえるか」という、達成基準を誤ってはいけません。
習慣づけのステップのひとつ、「易しくする」に則って、自分が簡単にできることから始めましょう。
具体的な注意点は以下の2つです。
- 他人の行動に左右されないものにする
- 達成基準を高いハードルにしない
習慣を達成したかどうかは、自分の行動によって左右されるものにしましょう。
例えばブログをもっと成長させるための行動を習慣づけたいとき、「1日〇〇回閲覧してもらう」という他者の行動によって決まる達成基準ではなく、「1日1記事投稿する」という、自分の行動で達成できるものにするのです。
習慣づけを始めたばかりのころは行動に不慣れです。
達成基準を易しくして、行動を起こしたら達成というくらい、軽い目標から始めましょう。
一度に複数取り組もうとしてしまう
習慣は生活を、ひいては人生を変えるものです。
だからこそ、「自分を変える!」とやる気に満ち溢れているときは、多くのことを一気にこなそうとしてしまいます。
実際に達成できればいいのですが、かなりの努力が必要になります。
結果として失敗するよりは、一つ一つ着実にこなしていくほうが早く目標を達成できるかもしれません。
急がば回れの気持ちをもって、余裕を感じながら習慣づけると、自分の気持ちも楽になります。
意志の力に頼ってしまう
習慣づけはやる気に頼らず仕組みに頼りましょう。
先述したコツを取り入れて、行動を起こさないほうが難しい、笑ってしまうくらい簡単だ、という状態を作って、小さく始めましょう。
毎日腕立て伏せ100回だ!というとてつもない気力を要することはせず、雪だるまを転がすようにだんだんとできることを増やしていくのです。
意志に頼らずとも行動できるように、行動を起こす力から身に着けていきましょう。
習慣づけの重要ポイントまとめ
本記事を読んだ後のベイビーステップ
- どんな目的で習慣づけるのか、言葉にする。
- その習慣づける行動を、いつ、どこで、どうやるか、言葉にする。
- 言葉にした行動を、決めたとおりに実践する。
- 本記事のコツを取り入れて、少しずつ習慣づけていく。
習慣は目標ではなく行動です。
実際に行い、続けていくものです。
急いで達成しようとせず、長く、じっくりと付き合いながらより良くしていきましょう。
コメント